昨今、障害がある方の就職を支援するために法改正があり、その為多くの企業では障碍者雇用が促進しています。
従業員数に応じて障害のある方の雇用人数が決まっており、それに違反すると罰則金が徴収されます。
そのようなこともあり、多くの企業で障害のある方の雇用が増えているのです。
では、就職を希望する障害のある方は職業訓練を受講することは出来るのでしょうか?
今回は、障害のある方と職業訓練にスポットを当ててご紹介したいと思います。
職業訓練校によっては受け入れが出来ないのが実情
障がいのある方と一言で言っても、その障害によっては受け入れ態勢が出来ていない訓練校もあります。
例えば、下肢に障害を持ち車いすがなければ移動が出来ないという方の場合、トイレは障がい者用の広いスペースのあるものが必要ですし、車いすのまま机に向かえることが最低限の条件となります。
ですが、都道府県主催の公共職業訓練を委託されている訓練校の中には、古いビルの1室を教室としていることもあり、障害のある方の利用に対応できない場所もまだまだあります。
しかし、同じ障害でも上肢に障害のある方の場合、段差があっても下肢には問題がありませんので誰かの手を借りなくても移動が出来ますし、障碍者用のトイレでなくても利用することが出来ます。
このような場合、そのまま健常者の方と同じように施設を利用してもらうことが出来ますので、職業訓練校も簡単に受け入れることが出来ます。
つまり、職業訓練を受講しようと考えるなら、コース選びも大切なのですが、その訓練が実施される施設が障害のある方を受け入れることが出来る施設なのかどうかの確認も、必要となります。
障害のある方専用の訓練
都道府県主催の訓練の中には、障害のある方専用の訓練もあります。
この様な訓練は、基本的には障害のある方を受け入れることが出来る施設で実施されますので、車いすの方でも安心して利用することが出来ます。
但し、残念ながら訓練内容がWordやExcelなどの操作習得を目的としたものが殆どで、それ以外のコースは都道府県によっては存在していません。
つまり、障害のある方が例えばWeb関連のコースを受講したいと望んだとしても、障害のある方専用のコースの場合には、その希望を叶えることが難しいのが実情なのです。
就労移行支援という福祉サービスを利用するのも1つの方法
障害のある方の就労を支援するために、「障害者総合支援法」に定められている障害福祉サービス「就労移行支援」というものがあります。
就労移行支援とは?
一般企業への就職を希望する障害のある方に、知識や能力を身に付けてもらうための事業所が「就労移行支援事業所」です。
職業訓練と同じように、毎日決まった時間に就労移行支援事業所に通い、そこで就労に必要な知識や能力を学びます。
以下のような方が利用できますので、職業訓練の受講が難しいという方は、一度検討をしてみても良いかもしれません。
[box05 title=”利用可能の方”]
- 18歳以上65歳未満
- 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害のある方
- 難病の方(パーキンソン病やクローン病等障害者総合支援法の対象となっている358疾病の方)
- 一般企業への就労を希望し、就労が可能と見込まれる方
[/box05]
一般的な職業訓練との大きな違いは、利用希望者の方1人1人と面談し、その方に合った訓練カリキュラムを考え実施する点です。
その為、普段からパソコンを使ったことがある方と、初めて利用するのでマウス操作や文字入力の方法から習得しなければならないといった方が一緒に同じペースで訓練が進んで行くわけではないのです。
また、就職支援の点でも大きな違いがあります。
一般的な職業訓練では就職支援やキャリアコンサルタントとの面談などがありますが、就職先の企業を紹介してもらったり、就労後の支援をしてもらったりといったことはありません。
この就労移行支援では、障害のある方に就職してもらうことが目的ですので、障害のある方を受けていれている企業の紹介、職場実習の実施、更には就職後に「職場定着支援」を実施など行ってくれます。
当然、障害のある方を受け入れる施設ですので、バリアフリー施設です。
但し、世帯年収によっては利用料を請求されることがあり、無料で受講できる職業訓練と比べると、デメリットと言えます。
利用期間は最長2年(延長あり)ですので、短期間で行われる職業訓練よりは長くじっくりと勉強できるというメリットもあります。
まとめ
実際、私が職業訓練で講師をしていた頃でも、障害のある方が訓練を受講し就職をしていますので、障害のある方でも訓練校によっては受講が出来ます。
諦めてしまう前に、訓練を受講できるのかどうか、毎日通うことが出来るのかどうか事前にしっかりと相談をすれば、希望する訓練コースを受講できるかもしれません。
また、近くに障害のある方を受け入れる体制が出来ている訓練校がないのなら、公的な支援でもある「就労移行支援」の利用を検討してみるのもいいかもしれません。
どちらにしろ、事前に施設見学を行うこととコース内容をしっかり見極めることをおススメします。
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